ゲレンデが舞台の小説そんなに好みじゃなかったはずなのに...

 

先日美容院で読んでいて途中になっていた「雪煙チェイス」を読み終えた。東野圭吾さんの文庫書下ろしで、ゲレンデを舞台にしたミステリー。
正直今までゲレンデを舞台にしてるものに興味がわかず、読んでいませんでしたが、40ページ程読む頃にはスカッリ心はつかまれていました。「さすがは東野圭吾さん」としか言いようがない。

殺人の容疑がかけられた大学生の脇坂竜実が、唯一自分のアリバイを証明できる美人スノーボーダーを捜しに、友人の波川と共にスキー場へ行く。それを所轄の刑事の小杉が追う。色んな人を巻き込みながら、大学生と刑事のチェイスが始まる。

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自分に殺人の容疑がかかっていると知った脇坂と友人の波川が「アリバイ証人を捜しに行く」となった時、私はそれが無理やりな設定に感じ「そんなの警察に言って捜してもらえばいいのに」なんて思ってしまった。そういうツッコミが口から出る時点で、既に物語の中に入り込んでる証拠なんだけど。
この二人の大学生のストーリーと並行して警察側のストーリーも進んでいく。本庁と所轄の争いと、上司から面倒を押し付けられている所轄の小杉。警察の内部事情というのは、いつ見ても面白い。
やがて村の人々を次々に巻き込み、広いゲレンデでの予測不能のチェイス。もうドキドキして目が離せない。次どうなる?早く知りたくて、読むテンポも上がってる感じ。
逃げる側と、追う側の対照的な二組なのに、不思議なことにどちら側にも感情移入してしまった。


読み終えてみると、私はなんで「ゲレンデが舞台」が好みじゃなかったのか?よくわからなかった。面白かった。結局のところ「食わず嫌い」のようなものだったんだと思う。「疾風ロンド」「恋のゴンドラ」もこれから読もうと思う。